96語を収録

HCD基礎検定 用語集

試験に出る言葉を、ひとつずつ。
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理念(10語)

人間中心デザイン
人間中心デザインは、利用者の目的や利用状況を理解し、要求の明確化、設計、評価を繰り返して、利用者にとっての価値と使いやすさを高めていく考え方とプロセス(HCD)。 ISO 9241-210では、利用状況の理解と明示、ユーザー要求の明示、解決策の作成、要求に対する設計の評価という活動を、計画のもとで必要に応じて繰り返すとしている。
共創
共創は、利用者や関係者を一方的な情報の提供者として扱わず、対話や試作を通じて、ともに価値や解決策をつくり出すこと(コ・デザイン)。 利用者が設計の過程に参加する参加型デザインや、インクルーシブデザインと共通する考え方で、人間中心デザインの重要な観点のひとつ。
利用者視点
利用者視点は、作り手の都合や技術の論理ではなく、利用者が置かれた状況、達成したい目的、行動、制約から課題と価値をとらえる姿勢。 人間中心デザインの基本となる考え方で、サービスデザインやカスタマーエクスペリエンス(CX)とも共通する。 調査や観察を通じて、利用者の実際の状況を知ることが出発点になる。
ISO 9241-210
ISO 9241-210は、インタラクティブシステムの人間中心設計について定めた国際規格。日本ではJIS Z 8530として規格化されている。 利用者・タスク・環境の明確な理解に基づく設計、設計・開発を通じた利用者の参加、利用者中心の評価による設計の改善、プロセスの繰り返し、ユーザーエクスペリエンス全体への配慮、多様な専門分野のチームという原則を示し、利用状況の理解、要求の明示、解決策の作成、評価の活動を定めている。
ユーザーエクスペリエンス
ユーザーエクスペリエンス(UX)は、製品・システム・サービスを使う前、使っている間、使った後に生じる、利用者の知覚や反応の全体。 使いやすさ(ユーザビリティ)だけでなく、期待、感情、満足、意味づけなどを含む。人間中心デザインは、よいUXを実現するための方法と位置づけられる。
サービスデザイン
サービスデザインは、利用者がサービスに触れるすべての接点と、それを支える組織の仕組みを含めて、サービス全体の体験を設計するアプローチ。 カスタマージャーニーマップやサービスブループリントなどの手法を使い、利用者視点と関係者との共創を重視する点で、人間中心デザインと共通する。
カスタマーエクスペリエンス
カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が企業やブランドと関わるすべての接点を通じて得る体験の全体。 製品の利用だけでなく、知る・買う・問い合わせる・使い続けるといった一連の過程を含む。利用者視点で体験をとらえる点で、UXやサービスデザインと共通する考え方。
参加型デザイン
参加型デザインは、製品やシステムを使う人や影響を受ける人が、設計の過程に参加して、ともに意思決定を行うデザインの方法。北欧の職場のシステム開発の取組みから広まった。 利用者を観察や調査の対象とするだけでなく、設計の当事者として扱う点が特徴で、共創やコ・デザインと共通する。
ダークパターン
ダークパターンは、利用者をだましたり心理的に誘導したりして、本人が意図しない購入・登録・同意などをさせるユーザーインタフェースの設計。 解約の手順をわざと分かりにくくする、不要なオプションをあらかじめ選択しておく、残り時間を偽って焦らせるなどの例がある。利用者の利益を損ない、人間中心デザインの倫理に反する。
ウェルビーイング
ウェルビーイングは、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること。一時的な快楽だけでなく、持続的な幸福や生活の質を含む。 人間中心デザインの社会的意義として、利用者や社会のウェルビーイングを高める製品・サービスの創出が重視されている。 短期的な利用の多さより、利用者の長期的な幸福を重視する。

計画(8語)

HCDプロセスのテーラリング
HCDプロセスのテーラリングは、プロジェクトの目的、リスク、期間、予算、対象利用者、すでにある知見などに応じて、人間中心デザインの活動の順序・深さ・組み合わせを調整すること。 すべての手法を毎回同じように行うのではなく、必要な活動を選び、どの段階から繰り返すかを決める。アジャイル開発やリーンUXなどの開発手法と組み合わせる際にも行う。
ステークホルダー
ステークホルダーは、製品やサービスの利用、提供、意思決定などに関わり、影響を与えたり受けたりする人や組織。 直接使う1次ユーザーのほか、2次ユーザー、間接ユーザー、発注者、運用者などを含む。計画の段階で誰がステークホルダーかを特定し、それぞれの要求を把握する。
ペルソナ
ペルソナは、調査で得た利用者の共通の特徴をもとに、対象となる利用者の目標、行動、状況、価値観を具体的な一人の人物像として描いたもの。 架空の人物だが、想像ではなく調査データに基づいて作る。関係者の間で「誰のために作るのか」を共有し、設計の判断のよりどころにする。
1次ユーザー
1次ユーザーは、製品やサービスを直接操作して使う利用者。 人間中心デザインの計画では、1次ユーザーのほか、時々使う・ほかの人を補助して使う2次ユーザー、直接は使わないが出力や影響を受ける間接ユーザー、そのほかのステークホルダーを区別して特定する。
2次ユーザー
2次ユーザーは、製品やサービスをときどき使う人や、保守・設定などのために使う人、1次ユーザーを補助して使う人など、主な利用者ではないが直接使うことがある利用者。 たとえば、システムの管理者やサポート担当者が該当しうる。1次ユーザーや間接ユーザーと区別して要求を把握する。
間接ユーザー
間接ユーザーは、製品やサービスを直接は操作しないが、その出力を受け取ったり、利用の結果の影響を受けたりする人。 たとえば、窓口の係員がシステムを操作して手続きをするとき、手続きを受ける来客が間接ユーザーにあたる。直接の利用者だけでなく、こうした人の要求も設計に反映させる。
アジャイル開発
アジャイル開発は、短い期間(スプリントなど)で計画・設計・実装・テストを繰り返し、動くものを少しずつ届けながら改善していくソフトウェア開発の進め方。 変化への柔軟な対応や利用者からのフィードバックを重視する。人間中心デザインの活動を、この短い繰り返しの中に組み込んで行うことが求められる。
リーンUX
リーンUXは、詳しい成果物を作り込むことよりも、仮説を立て、必要最小限の試作(MVP)を作って素早く検証し、学びを次に生かすことを重視するUXデザインの進め方。ジェフ・ゴーセルフらが提唱した。 アジャイル開発と組み合わせて、チーム全体で利用者からの学びを共有しながら進める。

要求定義(23語)

カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップは、利用者が目的を達成するまでの行動、接点(タッチポイント)、考え、感情の動きを、時間の流れに沿って可視化した図。 理想の利用状況を想定したり、現状の課題を見つけたりするために使う。ペルソナを主人公として描くことが多く、関係者の間で利用者の体験を共有するのに役立つ。
ユーザー要求
ユーザー要求は、特定の利用状況において、利用者が目標を達成するために、製品やサービスが満たすべき利用上の要求。 利用状況の把握で得た情報から導き、潜在的・本質的な要求も含めて明確にする。設計の根拠となり、評価ではこの要求を満たしているかを確かめる。
利用状況
利用状況は、誰が(利用者)、どんな目標のために、どのような作業(タスク)を、どの機器や資源を使って、どのような物理的・社会的・技術的な環境で行うかをまとめたもの(コンテキスト・オブ・ユース)。 ユーザビリティは利用状況によって変わるため、人間中心デザインはまず利用状況の理解から始まる。
行動観察
行動観察は、利用者が実際の環境で製品を使ったり作業したりする様子を観察し、行動の事実から課題やニーズを見つける調査方法。 利用者が言葉で説明しない無意識の行動や工夫、困りごとに気づける。インタビューと組み合わせて、行動の理由を確かめることが多い。
構造化インタビュー
構造化インタビューは、あらかじめ決めた質問を、決めた順番どおりに、すべての対象者に同じように尋ねるインタビュー。 回答を比べやすく、集計しやすいが、想定外の話題を深く掘り下げることは難しい。質問の大枠だけを決める半構造化インタビューと区別する。
半構造化インタビュー
半構造化インタビューは、質問の大枠(インタビューガイド)は事前に決めておき、相手の回答に応じて質問の順番を変えたり、深く掘り下げたりしながら進めるインタビュー。 利用者の考えや行動の背景を柔軟に引き出せるため、ユーザー調査でよく使われる。 事前に準備した質問の漏れを防げる。
グループインタビュー
グループインタビューは、複数の対象者を集めて、司会者(モデレーター)の進行のもとで話し合ってもらい、意見や考えを聞き出す調査方法。 参加者どうしの発言から話題が広がる利点がある一方、ほかの人の意見に影響されやすい。特定のテーマについて詳しく話し合うものはフォーカスグループと呼ばれる。
フォーカスグループ
フォーカスグループは、特定のテーマに焦点を絞り、条件に合う少人数の参加者に話し合ってもらうグループインタビューの手法。 製品のコンセプトや利用経験への反応、意見の幅を知るのに使う。発言は個人の実際の行動と一致しないこともあるため、観察などで補う。
質問紙調査
質問紙調査(アンケート)は、決められた質問に回答してもらい、多くの人から情報を集める調査方法。 選択式の回答は数量的に集計・分析しやすく、定量調査の代表的な手段になる。質問の言葉や順番で回答が偏らないよう設計し、理由などの深い情報はインタビューで補う。
定性調査
定性調査は、インタビューや行動観察などで、数値にしにくい利用者の考え、感情、行動の理由などを深く理解する調査。 少人数から「なぜ」を探るのに向いている。多くの人の傾向を数値で把握する定量調査と組み合わせて使う。 得られた事実から仮説を立て、定量調査で確かめる流れがよく使われる。
定量調査
定量調査は、質問紙調査やアクセス解析などで、データを数値として集め、統計的に分析する調査。 多くの人の傾向や割合、変化を客観的に把握できるが、その理由までは分かりにくい。定性調査と組み合わせて仮説の発見と検証を行う。 調査の対象者の偏りにも注意して結果を解釈する。
UXカーブ
UXカーブは、利用者に、製品やサービスを使い始めてからの時間の経過に沿って、満足度や印象の変化を曲線で描いてもらい、その理由を聞く調査手法。 長期にわたる体験の変化と、良くなった・悪くなったきっかけを把握するのに使う。 描いてもらった曲線を手がかりに、体験の具体的なエピソードを聞き出す。
フィールドワーク
フィールドワークは、調査者が利用者の生活や仕事の現場に出向き、観察やインタビューを通じて、実際の利用状況(コンテキスト)を理解する調査。 現場の環境や道具、人の関わりの中で、言葉にされないニーズや問題を見つけられる。文化人類学のエスノグラフィの方法が取り入れられている。
サービスブループリント
サービスブループリントは、利用者の行動と、それを支える提供側の活動を時間の流れに沿って描き、サービスの全体構造を可視化する図。 利用者の行動、利用者から見える接点の活動(フロントステージ)、見えない裏側の活動(バックステージ)、支援のプロセスを層に分けて表す。カスタマージャーニーマップより提供側の仕組みまで踏み込む。
シナリオ
シナリオは、利用者が目的を達成するために、どのような状況で、どのように行動し、製品やサービスとやりとりするかを物語の形で記述したもの。 理想の利用状況(To-Be)を描いて関係者で共有し、要求を明確にするのに使う。価値・行動・操作の段階に分けて書く構造化シナリオ法もある。
構造化シナリオ法
構造化シナリオ法は、シナリオを、ユーザーに提供する価値を書くバリューシナリオ、利用者の行動を書くアクティビティシナリオ、具体的な操作を書くインタラクションシナリオの3つの階層に分けて作る手法。 価値から操作へと段階的に具体化することで、提供価値と設計のつながりを保ちながら要求を定義できる。
タスク分析
タスク分析は、利用者が目標を達成するために行う作業(タスク)を、手順や下位の作業に分解して、その流れ、判断、必要な情報や問題点を明らかにする手法。 現在の作業の問題を見つけたり、新しい設計で作業がどう変わるかを検討したりするのに使う。 分析の結果は、設計や評価の課題作りにも使う。
KA法
KA法は、観察やインタビューで得た利用者の出来事を1枚のカードに書き、その出来事に表れた心の声と、そこから読み取れる価値を記述して、利用者が求める価値を抽出する手法。浅田和実が考案した。 抽出した価値を整理して、潜在的・本質的な要求をとらえるのに使う。
上位下位関係分析
上位下位関係分析は、調査で得た利用者の要求や行動を、具体的な下位の要求から、より抽象的で本質的な上位の要求へと階層的に整理する手法。 表面的な要求の背後にある本質的な要求を把握し、提供する価値を考えるのに使う。 上位の要求をとらえることで、表面的な要望とは異なる解決策を発想しやすくなる。
評価グリッド法
評価グリッド法は、複数の対象を比べてもらい、「どちらが好ましいか、それはなぜか」を尋ねて評価の理由を引き出し、さらに上位の価値(なぜそれがよいのか)と下位の具体的な条件(そのためには何が必要か)を聞いて、評価の構造を階層図にする手法。讃井純一郎らが開発した。 利用者自身も意識していない価値の構造を明らかにできる。
バリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションキャンバスは、顧客が片付けたい用事(ジョブ)、悩み(ペイン)、得たいもの(ゲイン)と、提供する製品・サービス、悩みを取り除くもの、利益を生むものを対応させて、提供価値と顧客の適合を検討するための枠組み。オスターワルダーらが考案した。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、事業の仕組みを、顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益の流れ、主要な資源、主要な活動、主要なパートナー、コスト構造の9つの要素で1枚に表す枠組み。オスターワルダーらが考案した。 利用者への提供価値と事業の成立を合わせて検討するのに使う。
ユーザーストーリーマッピング
ユーザーストーリーマッピングは、利用者の一連の行動を横軸に並べ、それぞれの行動を実現する機能(ユーザーストーリー)を縦に優先度順に並べて、製品の全体像と開発の範囲を可視化する手法。ジェフ・パットンが広めた。 利用者の体験の流れに沿って、最初に提供すべき最小限の範囲(リリースの単位)を決めるのに使う。

具現化(15語)

ブレインストーミング
ブレインストーミングは、複数の人が自由にアイデアを出し合う発想法で、オズボーンが考案した。 批判をしない、自由奔放を歓迎する、質より量を求める、他人のアイデアに便乗して発展させる、という原則で行う。出したアイデアはKJ法などで整理・収束させる。
プロトタイピング
プロトタイピングは、完成前の解決案を、試せる形(プロトタイプ)にして、理解の共有、仮説の検証、問題の早期発見に使う活動。 紙で描くペーパープロトタイプのような簡単なものから、実際に動く精度の高いものまであり、検証したい内容に合わせて作り込みの程度を選ぶ。早い段階で利用者に試してもらうことで、手戻りを減らせる。
情報アーキテクチャ
情報アーキテクチャは、利用者が必要な情報を見つけて理解できるように、情報の分類、構造、ラベル(名前の付け方)、ナビゲーション、検索の仕組みを設計すること(IA)。 サイトマップで全体の構造を、ワイヤーフレームで各画面の情報の配置を表す。 利用者の考え方に合った分類と名前にすることが重要。
KJ法
KJ法は、多くの情報やアイデアを1枚ずつカードに書き、内容の近いものを集めてグループにし、見出しを付け、グループの関係を図にまとめて、新しい発想や問題の構造を導く手法。文化人類学者の川喜田二郎が考案した。 ブレインストーミングで出したアイデアの整理や、調査データの分析に使う。
意味のイノベーション
意味のイノベーションは、製品やサービスの性能や機能を改良するのではなく、それが人々にとって持つ「意味」を新しく提案することで生まれるイノベーション。ロベルト・ベルガンティが提唱した。 利用者の要望を聞いて解決策を探す方法とは異なり、つくり手の内側からのビジョンと批判的な対話を重視する。
ペーパープロトタイピング
ペーパープロトタイピングは、画面や操作の流れを紙に手描きして試作し、利用者に操作してもらって評価する方法。 短時間・低コストで作れて修正しやすいため、設計の早い段階で多くの案を試すのに向いている。完成度が低いことで、利用者が率直な意見を言いやすい利点もある。
ラピッドプロトタイピング
ラピッドプロトタイピングは、試作品を素早く作り、評価し、改善するサイクルを短い間隔で繰り返す進め方。 完成度よりも速さを重視し、多くのアイデアを早く検証して問題を早期に見つける。ペーパープロトタイプや簡単なデジタルの試作などが使われる。 失敗を早く見つけることで、手戻りを減らせる。
ワイヤーフレーム
ワイヤーフレームは、画面にどの情報や機能を、どこに、どの順で配置するかを、色や装飾を省いた線と箱で示した設計図。 情報の構造や画面のレイアウトを、見た目のデザインを決める前に検討・共有するのに使う。サイト全体の構造を表すサイトマップと組み合わせる。
サイトマップ
サイトマップは、ウェブサイトなどを構成するページや画面の全体を、階層や関係が分かるように図にしたもの。 情報アーキテクチャの設計で、コンテンツの分類と構造、ナビゲーションを検討するのに使う。利用者向けにサイト内のページの一覧を示すページを指すこともある。
デザイン原則
デザイン原則は、使いやすい製品やサービスを設計するための基本的な指針。一貫性、フィードバック、エラーの防止、分かりやすい表示、利用者による制御などが代表的。 シュナイダーマンの8つの黄金律やニールセンのヒューリスティクスなどがあり、設計と専門家評価の両方の基準になる。
8つの黄金律
8つの黄金律は、ベン・シュナイダーマンが示したユーザーインタフェース設計の原則。 一貫性を保つ、多様な利用者に対応する、有益なフィードバックを返す、操作の区切り(完了)を示す、エラーを防ぎ簡単に回復できるようにする、操作を取り消せるようにする、利用者に主導権を持たせる、短期記憶の負担を減らす、の8項目からなる。
デザインシステム
デザインシステムは、製品のデザインを一貫して効率よく作るために、デザイン原則、スタイルガイド(色・文字・余白など)、再利用できる部品(コンポーネント)、使い方の指針をまとめて管理する仕組み。 複数の画面や製品、チームの間で見た目と操作の一貫性を保ち、品質と開発の速さを高める。
スタイルガイド
スタイルガイドは、色、文字(書体・大きさ)、アイコン、レイアウト、言葉づかいなどの表現のルールをまとめた文書。 画面や媒体の間で表現をそろえ、ブランドの一貫性と使いやすさを保つ。デザインシステムの一部として扱われることが多い。 複数のデザイナーで作業するときに特に役立つ。
デザインパターン
デザインパターンは、よく出てくる設計上の問題に対して有効とされる、再利用できる解決策の型。画面のレイアウト、UIの部品、画面遷移などのパターンがある。 利用者がほかの製品で慣れた操作をそのまま使えるため、学習の負担を減らせる。 状況に合わないパターンをそのまま使わないよう注意する。
ストーリーボード
ストーリーボードは、利用者が製品やサービスを使う場面を、漫画のような絵のコマで時系列に描いたもの。 利用状況や体験の流れを関係者が直感的に共有でき、アイデアの検討やシナリオの可視化、インタラクションの設計に使う。 文章だけのシナリオより、状況の雰囲気や感情を伝えやすい。

評価(8語)

ヒューリスティック評価
ヒューリスティック評価は、あらかじめ定めたユーザビリティの経験則(ヒューリスティクス)に照らして、専門家が画面や操作の問題点を見つける評価方法。ニールセンの10のヒューリスティクスがよく使われる。 利用者を集めずに短期間・低コストで行えるが、評価者の経験に左右され、実際の利用者の行動は分からない。複数の評価者で行うと発見できる問題が増える。
ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、対象となる利用者に代表的な課題(タスク)を実際に行ってもらい、行動や発言を観察して、利用上の問題を見つける評価方法。 課題を行いながら考えていることを話してもらう思考発話法がよく使われる。少人数(5人程度)でも多くの問題を発見できるとされ、設計の早い段階から繰り返し行う。
専門家評価
専門家評価は、ユーザビリティや対象分野の知識を持つ評価者が、設計の原則や経験則に照らして問題を見つける評価方法。インスペクション法とも呼ばれる。 ヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーなどがあり、利用者を集めずに早い段階で行えるが、実際の利用者による評価(ユーザビリティテスト)と組み合わせて使う。
インスペクション法
インスペクション法は、利用者に参加してもらわずに、専門家がデザインの原則や経験則、利用者の行動の想定に照らして、製品のユーザビリティの問題を点検する評価方法の総称。 ヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーが代表例で、早い段階で低コストに行える。
認知的ウォークスルー
認知的ウォークスルーは、評価者が初めて使う利用者の立場になって、課題を達成する操作の手順を1ステップずつたどり、各段階で利用者が正しい操作に気づき、理解できるかを点検する専門家評価の手法。 特に、説明なしで使い始める場面での学びやすさの問題を見つけるのに向いている。
思考発話法
思考発話法は、ユーザビリティテストで、利用者に課題を行いながら、考えていることや感じていることを声に出して話してもらう方法。 操作の理由や迷い、誤解を把握でき、問題の原因を特定しやすい。話すことで操作が変わる場合もあるため、評価者は誘導しないよう注意する。
コンセプトテスト
コンセプトテストは、製品やサービスの考え方(コンセプト)を、文章、絵、簡単な試作などで利用者に示し、魅力や理解のされ方、受け入れられるかを確かめる評価。 本格的な開発の前に方向性を検証し、提供価値の見直しに役立てる。 複数の案を比べて評価することもある。
受容性評価
受容性評価は、製品やサービスが利用者に受け入れられ、使ってもらえるかどうかを評価すること。 使いやすさだけでなく、役に立つか、価値を感じるか、費用や手間に見合うか、使い続けたいかといった観点を含む。コンセプトテストなどで確かめる。 導入後の継続利用を見通すうえで重要になる。

運用(3語)

アクセス解析
アクセス解析は、ウェブサイトやアプリの利用ログを集計・分析し、訪問数、利用経路、ページごとの行動、離脱の多い箇所などを把握する方法。 大量のデータから「何が起きているか」を定量的に示せるが、「なぜそうなったか」は分からないため、インタビューやユーザビリティテストなどの定性調査と組み合わせる。
バージョンアップ
バージョンアップは、実際の利用で分かった問題や、利用者の要求・環境の変化を踏まえて、製品やサービスを改善・更新すること。 人間中心デザインでは公開後も実利用状況を把握し、改善につなげる。変更によって新たな問題が生じないよう、更新後にも評価を行う。
実利用状況
実利用状況は、製品やサービスが公開された後に、実際の利用者・目的・作業・環境の中で生じている利用の状態。 開発時に想定した利用状況と違うことが多いため、アクセス解析や問い合わせ、観察などで把握し、バージョンアップなどの改善につなげる。 実利用状況から得た学びは、次の設計にも生かす。

基本知識(26語)

アクセシビリティ
アクセシビリティは、年齢、障害、利用環境などの違いにかかわらず、できるだけ多くの人が製品・サービス・情報を利用できる度合い。 ハードウェアとソフトウェアの両面があり、ウェブではW3CのWCAGや日本産業規格JIS X 8341-3が基準になる。スクリーンリーダーなどの支援技術で使えることも重要な観点である。
ユーザビリティ
ユーザビリティは、特定の利用者が、特定の利用状況において、製品・システム・サービスを使って特定の目標を達成する際の、有効さ、効率、満足の度合い(ISO 9241-11、JIS Z 8521)。 有効さは目標を正確に完全に達成できるか、効率はそのために使った資源(時間・労力など)、満足は利用による心身の状態や受け止め方を指す。
ワーキングメモリ
ワーキングメモリは、情報を一時的に保ちながら、理解、判断、計算などの処理に使う記憶の働き(作業記憶)。 一度に保持・処理できる量に限りがあるため、画面の設計では覚えておかなければならない情報を減らし、情報をまとまり(チャンク)にして示すなど、認知的な負担を小さくする工夫が必要になる。
ISO 9241-11
ISO 9241-11は、ユーザビリティの定義と考え方を示した国際規格で、日本ではJIS Z 8521として規格化されている。 ユーザビリティを、特定の利用者が特定の利用状況で、システム・製品・サービスを使って特定の目標を達成する際の有効さ、効率、満足の度合いと定義している。ユーザー、利用状況、目標、効果(有効さ)、効率、満足が主要な概念になる。
UXの5段階モデル
UXの5段階モデルは、ジェシー・ジェームス・ギャレットが示した、UXを構成する要素を5つの層で表すモデル。 下から、戦略(目的と利用者のニーズ)、要件(機能と内容の要求)、構造(情報アーキテクチャ・インタラクション)、骨格(画面のレイアウト・ナビゲーション)、表層(見た目)の順に、抽象的なものから具体的なものへと積み上げる。
短期記憶
短期記憶は、注意を向けた情報を、数秒から数十秒程度の短い間だけ保持する記憶。保持できる量には限りがあり、ミラーは「7±2」のまとまりと示した(現在はより少ないとする考え方もある)。 繰り返し覚える(リハーサル)ことで長期記憶に移る。操作中に覚えておく情報を減らす設計が求められる。
長期記憶
長期記憶は、長い期間にわたって保持され、容量にほぼ制限がない記憶。 事実や知識のように言葉で説明できる宣言的知識と、自転車の乗り方のように体で覚えた手続き的知識がある。利用者がすでに持つ知識(メンタルモデル)に合った設計にすると、使い方を理解しやすい。
感覚記憶
感覚記憶は、目や耳などの感覚器から入った情報を、ごく短い時間(視覚では1秒未満程度)そのまま保持する記憶。 このうち注意を向けた情報だけが短期記憶に送られる。人の記憶は、感覚記憶、短期記憶、長期記憶の段階で説明されることが多い。 注意を向けなかった情報はすぐに消えてしまう。
チャンク
チャンクは、人が情報を記憶したり処理したりするときの意味のあるまとまり。 たとえば電話番号を数けたずつ区切ると覚えやすくなる。短期記憶やワーキングメモリの容量はチャンクの数で考えられるため、情報をまとまりにして示すと理解や記憶の負担を減らせる。
宣言的知識
宣言的知識は、「〜は〜である」という事実や意味のように、言葉で説明できる知識。 操作のやり方として体で覚えている手続き的知識と区別される。初めて使う人は宣言的知識(説明書の手順など)に頼り、慣れると手続き的知識として自然に操作できるようになる。
手続き的知識
手続き的知識は、自転車の乗り方やキーボードの打ち方のように、繰り返しによって身につき、意識せずに実行できる「やり方」の知識。 言葉で説明しにくい。操作が手続き的知識として身についていると、操作方法の変更で誤りが起こりやすくなる点にも注意する。
学習の転移
学習の転移は、以前に学んだことが、新しい学習や課題の遂行に影響を与えること。 以前の学習が新しい学習を助ける場合を正の転移、妨げる場合を負の転移という。ほかの製品と操作をそろえると正の転移で使い方を早く覚えられるが、似ていて違う操作は負の転移による誤りを招く。
知覚的群化
知覚的群化は、見えている多くの要素を、人が自然にまとまり(グループ)として知覚する働き。ゲシュタルト心理学で示された。 近くにあるものはまとまって見える(近接)、似たものはまとまって見える(類同)、閉じた形にまとまって見える(閉合)、なめらかにつながるものはまとまって見える(よい連続)などの要因がある。画面の要素の配置に生かす。
アフォーダンス
アフォーダンスは、環境やものが、人や動物に提供する行為の可能性。知覚心理学者ギブソンが提唱した概念。 ノーマンがデザインに取り入れ、ものの形や見た目から使い方が分かるように設計することの重要性を示した。ノーマンは後に、どう操作すればよいかを伝える手がかりをシグニファイアと呼んで区別した。
スキーマ
スキーマは、経験を通じて形成された、物事についての知識のまとまりや枠組み。人は新しい情報をスキーマに当てはめて理解する。 利用者がもつスキーマに合った表示や操作にすると理解しやすく、合わないと誤解が生じやすい。 スキーマは人によって異なるため、利用者の調査で把握する。
ヒューマンエラー
ヒューマンエラーは、人が意図した結果を得られない行為の誤り。 意図は正しいが実行を誤るスリップ、すべきことを忘れるラプス、状況の判断や計画そのものを誤るミステイクに分けられる。人は必ず誤るという前提で、誤りを起こしにくく、起きても回復しやすい設計にする。
明順応
明順応は、暗い所から明るい所へ移ったとき、目がまぶしさに慣れて見えるようになること。比較的短い時間で起こる。 逆に明るい所から暗い所へ移って見えるようになる暗順応は、時間がかかる(数十分程度)。画面の明るさの急な変化や、屋外・屋内での利用の配慮に関係する。
暗順応
暗順応は、明るい所から暗い所へ移ったとき、しだいに目が慣れて見えるようになること。完全に慣れるまでに数十分程度かかる。 明順応より時間がかかるため、暗い環境で使う機器では、画面の明るさが目の順応を妨げないよう配慮する。加齢により順応の働きは低下する。
利用時品質
利用時品質は、特定の利用者が特定の利用状況で製品を使うときに、目標を達成できる度合い(有効性・効率性・満足性など)として表す品質。 製品そのものの特性(機能や性能など)を表す製品品質と区別される。人間中心デザインが目指すのは、利用時品質を高めることでもある。
ウェブアクセシビリティ
ウェブアクセシビリティは、障害の有無や年齢、利用する機器や環境にかかわらず、誰もがウェブサイトの情報やサービスを利用できる度合い。 W3CのWCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)や、日本産業規格JIS X 8341-3が基準になる。画像の代替テキスト、キーボードだけでの操作、十分な色のコントラストなどが例。
支援技術
支援技術は、障害のある人などが製品や情報を利用できるように補助する機器やソフトウェア。 画面の内容を読み上げるスクリーンリーダー、画面拡大ソフト、点字ディスプレイ、音声入力などがある。製品側は、支援技術で正しく使えるように設計する必要がある。
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインは、年齢、能力、国籍などの違いにかかわらず、はじめからできるだけ多くの人が使いやすいように設計する考え方。ロナルド・メイスが提唱し、7つの原則(誰でも公平に使える、柔軟に使える、使い方が簡単ですぐ分かる など)が示されている。 障害のある人をプロセスに巻き込むインクルーシブデザインとも関係が深い。
DE&I
DE&Iは、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)の頭文字。 多様な人がいることを認めるだけでなく、それぞれの状況に応じて公平な機会を提供し、誰もが参加できる状態をつくることを目指す。デザインでは、多様な利用者を想定し、排除される人を生まないことにつながる。
テクニカルライティング
テクニカルライティングは、取扱説明書やヘルプなどの技術的な情報を、利用者が正しく理解し、迷わず行動できるように、正確で分かりやすく書く技術。 読み手と目的を明確にし、手順を順序立てて、用語を統一して書く。ソフトウェアの画面上の言葉を扱うUXライティングと関係が深い。
UXライティング
UXライティングは、ボタンのラベル、エラーメッセージ、案内文など、製品の画面上の言葉を、利用者が迷わず目的を達成できるように設計すること。 短く、具体的に、利用者の言葉で書き、次に何をすればよいかが分かるようにする。 専門用語や開発側の言葉を避けることも大切。
マイクロコピー
マイクロコピーは、ボタン、入力欄の説明、エラーメッセージ、確認のダイアログなどに使われる短い言葉。 小さな言葉の違いが、利用者の理解、安心感、行動(入力の完了や申込み)に大きく影響する。UXライティングの主な対象となる。 利用者を誤解させる言い回しは避ける。

普及・連携(3語)

HCD専門家
HCD専門家は、利用者調査、要求定義、設計、評価などの人間中心デザインの活動を、専門性に基づいて計画・実践・支援する人。 UX/UIデザイナーやマーケター、開発者などと連携し、組織に人間中心デザインを広める役割も担う。 専門家どうしが連携することで、利用者視点を製品やサービスの全体に反映できる。
インクルーシブデザイン
インクルーシブデザインは、障害のある人や高齢者など、これまで設計で見落とされやすかった人を、デザインのプロセスの初めから参加者として巻き込み、その経験から、より多くの人に使いやすい解決策を見いだす考え方。 利用者を対象として配慮するだけでなく、ともにつくる点で共創の考え方と重なる。
デザイン経営
デザイン経営は、デザインを見た目の制作に限らず、利用者の価値、ブランドの構築、イノベーションの創出、組織の変革などに生かす経営の考え方。 2018年に経済産業省・特許庁の研究会が報告書「デザイン経営」宣言を公表し、日本でも広く知られるようになった。